薬師見平。大学でワンゲルに入った年から、ずっと行きたいと思っていた場所だ。
知ったきっかけは、「薬師見平」でググると一番に出てくる1、町内の山2のこの記事。当時やまどうぐ関係のバイトをしていて、ネットでお勉強してるうちに出会ったサイトだ。きっとこの記事を読めば誰だって行きたくなると思う。
僕が大学時代に所属していたワンゲルは藪漕ぎ活動をそれなりに活発にしているのだけど、この記事を読んだ当時は藪漕ぎには一度しか行ったことがなかった。土砂降りの雨の中藪をこぎ続け、笹藪のラッセルでは置いていかれ、結局目的地に着かず、わけのわからない場所で無理やりテントを張ったせいで夜中に酸欠になって目が覚め、防水が甘くてiPhoneがぶっ壊れた。もう二度と藪漕ぎには行きたくないと思った、というか、本気で退部を考えた。
しかしこの記事を読んで、桃源郷を目指すためならまた藪漕ぎしてみたいなという気になった。結局、その後部誌を読み漁るうちに歴代の先輩方の熱い藪漕ぎ記録に感化され、藪漕ぎ大好きになってしまった。
藪漕ぎ大好き人間が一定数いる我が部に、薬師見平はうってつけの場所のように思えた。上越や東北の藪で鍛えられた我々なら、赤牛から北西尾根を往復するルートはそんなに難しくないだろう。しかし残念ながら、我が部には登山口まで12時間で戻れる場所までしか行ってはいけないという非常に厳しいルールがあった。このルールの内だと赤牛岳がギリギリだ。
というわけで現役のうちに行くのは諦め、卒部して1年目の昨年チャレンジした。が、天気が悪く赤牛に着く前に敗退。(そのうちこっちの記録も書くかもしれない。)そのリベンジが今回の山行である。
ちなみに、薬師見平に至るルートは他に旧高天原新道ルート(上の記事)、上ノ廊下から遡行するルートが考えられるが、僕は沢の経験が乏しく上ノ廊下と旧道ルートは無理なので、赤牛北西尾根とした。そもそも、旧道ルートは旧道を辿るというロマン以外になんのメリットもない気がする。
昨年の面子は一つ上のMさん、Nさん、同期のJ、自分の計4人であった。当時は皆学生だったが今年は自分とMさん、Nさんは社会人。残念ながらMさんは休みが合わせられず不参加となった。代わりに同じく1つ上のIさんが参加してくれた。ちなみにIさん、Nさんは藪嫌いである。藪嫌いでも行ってみようかなという気にさせるものが薬師見平にはあるのだ。
藪や沢をあまりやらない人たちの中でも薬師見平はそれなりの知名度があると思うのだけど、ネット上に記録はあまりない。(初心者がうっかり行ってしまわないようにとか、人がやたらと増えないようにという配慮からなのかもしれない。僕は書くけど。雑誌に載ってテレビ放映もされてるんだから今更遠慮することもないだろう。)沢からのルートや残雪期の記録はそこそこ見つかるが、赤牛の北西尾根の記録は二つしか見つからなかった。こちらのブログ3と、あと一つはどこかの山岳会?の掲示板だったのだがいつの間にか消えてしまっていた。掲示板の方は記録と言えるものではなくて、「想像を超える猛烈なヤブに行く手をはばまれ敗退」という情報しかなかった。
ネット以外では、岳人講座 秋山という本のp.279~p.283に阪大山岳部の記録があった。学生時代、図書館で勉強中に気分転換で読んでいたらたまたま見つけたものだ。見つけられた記録の中ではこれが一番詳しい、というか行動時間が記載された記録はこれしかなかった。薬師見平という単語が出てくるわけでもないのに発見した自分を讃えたい。少々古い(1958年)のが問題だが、手がかりが何もないよりだいぶマシだ。
あとは赤牛岳までのルートが問題になる。赤牛岳は北アルプスの中でもかなり山深い場所に位置し、ルートがいくつも考えられる。
- 高瀬ダムから入山し、裏銀座〜水晶〜赤牛
- 新穂高温泉から入山し、三俣蓮華〜水晶〜赤牛
- 折立から入山し、雲ノ平or黒部五郎〜水晶〜赤牛
- 黒部ダムから入山し、読売新道〜赤牛
などなど。今回、百名山ハンターであるIさんから黒部五郎と薬師を踏みたいという希望と、Jから雲ノ平に行ってみたいという希望があった。その辺りを考えると2の新穂高入山は非効率的だし、みんな歩き飽きてるルートなので却下。1の高瀬ダム入山は去年と同じルートで萎えるので却下。3の折立入山だと赤牛に着く前に薬師や黒部五郎で消耗してしまいそうなので却下。
というわけで、4の黒部ダム入山とした。4泊分の荷物を持って読売新道を登るのはアホらしいが、薬師見平を最優先にしたいし、仕方がない。最終的に計画は以下のようになった(1p = 50分行動+10分休憩)。
- 8/8(月) 新宿=扇沢
- 8/9(火) 扇沢=黒部ダム〜奥黒部ヒュッテ (6.1p)
- 8/10(水) 奥黒部ヒュッテ〜赤牛岳〜薬師見平 (12.1p)
- 8/11(木) 薬師見平〜赤牛岳〜雲ノ平 (13.6p)
- 8/12(金) 雲ノ平〜黒部五郎小屋 (5.2p)
- 8/13(土) 黒部五郎小屋〜薬師峠 (7.3p)
- 8/14(日) 薬師峠(〜薬師岳往復)〜折立 (8.2p)

みんなの希望を叶えようとしたら、なかなか厳しい計画になってしまった。ぶっちゃけ完遂する気はなくて、薬師見平さえ打てればそれでいいと思ってた(Iさん、J、ごめんなさい)。
実際行ってみた後の感想を先に書いておくと、同じルートは萎えるとかバカなこと言ってないで高瀬ダムか新穂高温泉から入山すべきだった。
2016.8.8(月)
アプローチは新宿から扇沢まで深夜バス。バスは23:15発、お盆休みには少し早いが乗客は多かった。
ヤマテンの予報によると9日は晴れ時々霧、10,11,12日は晴れとのことで、去年と違い天気には恵まれそうだ。
2016.8.9(火)
| 着 | 発 | 場所 |
|---|---|---|
| 扇沢 | ||
| 8:00 | 黒部ダム | |
| 8:23 | 8:33 | ロッジくろよん |
| 9:08 | 9:23 | 広い河原 |
| 10:12 | 10:28 | (休憩) |
| 11:56 | 12:38 | (渡し船・休憩) |
| 13:25 | 13:40 | (休憩) |
| 14:43 | 奥黒部ヒュッテ |
深夜バスは5:30頃に扇沢着。バスは停留所が多くしょっちゅうアナウンスがあるため、熟睡はできなかった。
乗車券の販売は6:50から。みんな並んでいたが、並ぶ必要なくない?などと列から外れて座っておしゃべりしていた。しかし人がどんどん増える。販売20分前ぐらいにさすがにまずいと思って並ぶ。並んでなかったらトロリーバスで座れなかったかもしれない。
トロリーバスは7:30発。初めて乗るのでなんとなくワクワクしていたが特に面白くはなかった。
黒部ダムに着いたら体操して出発。普通リーダーは最後尾を歩くものだが、確実に僕が律速になるので僕が先頭を歩く。ほとんどの人は室堂に向かうようだ。
ロッジくろよんまでは舗装路をてくてく歩く。くろよんで一人2Lの水を汲む。2L増えただけでザックが重く感じ、みんな明日からちゃんと歩けるか不安になる(明日は一人6L持つ)。
くろよんまではエアリア4の半分くらいでこれたので12時発の渡し船には余裕で間に合う、とこの時は思っていた。
くろよんから30分ぐらいで御山谷の広い河原(エアリアでピンがある場所)に着く。しばらく休憩できそうなところがないので、ここで休憩する。その次の休憩がどこらへんだったかあまり覚えていない。
11時を過ぎたあたりから、渡し船に間に合うか不安になってくる。調子に乗って休憩を長く取りすぎた。現役時代は50分行動+10分休憩が基本だったのだが、もうみんなOBで元気がないので15分休憩が基本になってしまった。
中ノ谷の広い河原(エアリアのピン)のちょっと前にとんでもないはしごがあった。登りが非常にしんどい。船で渡った先はこんなのが連続するのか?

そのあともアップダウンが続きしんどい。喉が渇いてきたが、船の時間が迫っているので休憩を我慢し歩き続けた。結果、ギリギリの11:56に到着。あぶないあぶない。
船は5分遅れぐらいで出発。自分たちの他にはULスタイルの単独のお兄さんと、いかにも強そうな3人組が乗っていた。3人組は上ノ廊下を遡行するそうだ。ゼロポイント5の90Lザックと110Lザックを背負っておりなんだか親近感が湧く。薬師見平に行く、池塘が枯れていないか心配だ、と話すとあそこの池塘は枯れないだろう、と言われた。やはり沢をやってる人たちには有名な場所なんだなぁ。

船を降りてから登山道までググッと登り、改めて休憩をとる。
こっからのアップダウンはものすごいんだろうな……と覚悟して出発するが、はじめの1pはほとんど水平で楽だった。しかし「思ったより楽だな」などと口にするとフラグになりそうなので黙っていたら他の人が言ってしまった(誰だったかな)。案の定、次の1pは大きなアップダウンの連続。なかなか恐ろしいはしごもあった。最後は砂っぽい平坦なところを少し歩いてから沢を渡り、奥黒部ヒュッテに到着。
時間に余裕があるのでだらだらサイト6するつもりだったが、着いてすぐに雨が降り出す。すぐにやむと思ったが、やまない。
他の人にテントを任せて小屋に手続きに行く。翌日の宿泊予定地を聞かれたので薬師見平と答えるが、よく知らない様子。登山道外ということで心配され、登山届けを提出した。水晶小屋にも連絡してくれるという。また、何かあったら電話しなさいと、奥黒部ヒュッテの衛星携帯の番号を教えてくれた。ありがとうございます。
水を汲んでから晩御飯づくり。
去年は炊事用のコッヘルは部から借りたのだけど、今年は日程が現役部員たちの夏合宿とかぶっているので借りられなかった。というわけでレトルトをあっためたりするのは僕がもともと持ってる1.4Lのコッヘルを使い、米炊きにはラージメスティンを新たに購入した。ラージメスティン、メーカーは3.5合までと言っているが、amazonのレビューか何かで頑張れば4合炊けるとあったのでよしとした。
しかし4合炊くのは達人じゃないと無理なようで、米が膨らみ切らず堅くなってしまった。食べられないことはないが…。レトルトは各々好きなものを用意しており、去年と同じくNさんのおかずは豪華だった。Iさんから食べるラー油かなにか差し入れをいただいたのだがなんだったか忘れてしまった。
奥黒部ヒュッテは水がジャバジャバ使えて、食器を洗うことも許可されていた。素晴らしい。
明日は読売新道を登って薬師見平まで行く一番の根性日なので、ご飯を食べたらさっさと寝た。
2016.8.10(水)
| 着 | 発 | 場所 |
|---|---|---|
| 4:25 | 奥黒部ヒュッテ | |
| 5:05 | 5:15 | (休憩) |
| 5:32 | 1/8標識 | |
| 6:05 | 6:20 | (休憩) |
| 6:26 | 2/8標識 | |
| 7:03 | 3/8標識 | |
| 7:05 | 7:20 | (休憩) |
| 8:00 | 4/8標識 | |
| 8:10 | 8:25 | (休憩) |
| 8:46 | 5/8標識 | |
| 9:12 | 9:30 | 6/8標識 |
| 10:00 | 7/8標識 | |
| 10:15 | 10:26 | (休憩) |
| 11:03 | 11:30 | 赤牛岳 |
| 12:03 | 12:18 | C2 |
| 12:50 | 12:58 | P3 |
| 13:46 | 14:01 | 2650mのピョコ |
| 14:45 | 15:00 | C3手前 |
| 15:10 | C3 |
今日は勝負の日であり、行動時間も長くなる。暑くなる前に少しでも行動したいので3時に起床。4時過ぎに出発できるかなと思っていたが、僕の1.4Lのコッヘルで4人分のパスタを茹でるのは結構大変で時間がかかった。結局、出発は4:25。
出発してすぐに急登になり、暑いので上着を脱ぐ。しばらく急登が続く。1ピッチ目なので早めに休憩をとる。まだ1/8標識を目にしていないのが気になるが、見逃してる説にかける。
が、しばらく行くと1/8標識があり絶望する。つらい…。この後も3/8標識ぐらいまでは急登が多くつらかった。
4/8標識を過ぎたあたりから時折展望が開ける。展望があるときは日差しがきつい。この辺のハイマツ帯は、ちょうどいい高さにブルーベリーもどき(クロマメノキと言うらしい)がたくさん生えているので歩きながらつまむ。うまい。

6/8のあたりからはハイマツも低くなりザレてくる。太陽が空気読んで雲に隠れてくれて助かる。7/8を過ぎ、あと少しなので一気に行こうかとも思うが今日はまだまだ長いのできっちり休憩する。このあとが結構つらかったので休んどいてよかった。コースガイドなどでよく出てくる赤牛直下のロープがあるザレ場は、見た目に反して足場はしっかりしておりそんなに怖くなかった。

11時過ぎに赤牛岳到着。予想に反して人が多い。団体さんと、立山からぐるっと縦走してきたという単独の女性がいた。
赤牛岳に着くちょっと前ぐらいから雲は減り、日差しがキツい。赤牛岳は本当に北アルプスのど真ん中という感じで、確かにいいピークである。


人がわんさかいる前でコース外に突っ込むのはちょっとやだなぁと思っていたら、出発ちょっと前に団体さんがいなくなった。単独の女性と少しおしゃべりし、この尾根を行くんです、というと「へー!歩いてるとこ写真撮ってもいいですか?」と言われた。
こりゃあキビキビ歩かねばと気合を入れ、出発。赤牛からしばらくは非常に歩きやすく、確かに何も考えずに歩いてると登山道と間違える人もいるかもなぁと感じた。あっという間にC2に到着。

C2から先もしばらくは快適だったが、P3のあたりから岩がでかくなってくる。岩がでかいのでルート取りが難しい。あまりに岩がでかいので尻をついて降りる場面が何度もあった。時折ハイマツの上を進むが、地面が見えにくいので怖い。

2650mのピョコ7の手前ぐらいからはIさんとJの2トップ隊形で進んでもらった。2人はさっさか下っていくが故障経験のある僕とNさんは遅い。特にNさんはかなり神経を使って消耗しているようで、2650mピョコで休憩した時かなりしんどそうだった。
2650mピョコからは薮入り地点(C3)〜薬師見平のルートが見渡せることもあり、この時ぐらいから今日のうちに薬師見平に行けるか不安になってくる。阪大山岳部の記録を参考にした読みではC3から薬師見平まで70分だが、もさもさした稜線を目にして、みんなあれを抜けるには3p以上かかるだろう、と言っている。僕としては、見た目もさもさでも笹中心の藪のはずで、読み通りの70分は無理にしても100分はかからんだろうと思う。が、その根拠は60年前の記録だし、最近の社会人パーティのコメントは「想像を超える猛烈なヤブ」である。(計画段階ではどうせヤブを漕ぎ慣れていない人たちのコメントだろうということであまり参考にしていない。)
ちなみに薬師見の池も見え、沢まで降りずに水が調達できることが確認できた。

この次のピッチでC3に着くかと思っていたが、岩がどんどんエグくなってペースが上がらないため、休憩をとる。この休憩場所からの景色は社会人パーティが敗退した時の写真と一致している。果たしてあの先は本当に「猛烈なヤブ」なのだろうか。
出発してすぐにIさんとJがC3につく。僕とNさんが追いつく前に軽く藪の様子を見てもらう。「想像を絶する藪ですか?」と聞くと「想像を絶する藪ではない」との返答が来る。僕もC3に着いて見てみると、薮入り地点はハイマツで、想像を絶するものではないが薄くもない。これからどうするか思案する。IさんとJは元気だし速いし、薬師見平まで行く気満々だ。(今日中に行かないと日程的に雲ノ平、黒部五郎などに行けなくなるというのもあるだろう。)僕もここまで消耗はしたがそれなりに元気だし、水のことを考えると今日のうちに薬師見平まで行ってしまいたい。(薬師見平の池塘で水を補給する計画であるため。)
みんなやたらと心配しているが、ここまでほぼ読み通りこれているし、ここから長めに見て3pかかるとして18時ぐらいには薬師見平に着くだろうと思う。しかし万が一藪が予想より濃く進みが遅かった場合、C3と薬師見平の間にサイト適地8がある保証はない。それに薬師見平にたどり着けなかった場合、水不足に追い詰められる。薬師見平で水を汲めないとしたら、引き返す判断は早いほどいい。
かなり迷ったが、僕とNさんが結構消耗していることもあり、安全をとってC3でサイトすることにした。日程が1日遅れ完遂が不可能になったので、Iさんは残念そうだった。
サイトしながら明日以降の計画を立てる。
薬師見平でテントを張り、薬師岳に沈む夕日を見るのが夢だったが、藪がゲロい9と仮定すると、本ザック10を背負って薬師見平から水晶小屋まで1日で行くのは辛いし、だからと言って帰りもC3で一泊するとなるとまた水がカツカツになる。(ついでに日程もカツカツになる。)大変残念だが薬師見平で一泊計画は諦め、明日はサブ装11で薬師見平までピストン12とする。
薬師見平までピストンするとして、薬師見平にたどり着けない(=水を調達できない)可能性を考慮してリミットを設けなければならない。なんやかんやと計算し、
- P4まで30分
- 薬師見平まで150分
の二つのリミットを設定することにした。
電波はバリバリ入ったので、奥黒部ヒュッテに電話して予定の変更を伝える。この赤牛北西尾根は終始電波がよく入り、びっくりした。
C3は開けていて気持ちのいい場所だったが、水平な場所がテント一張り分しかない。仕方がないので僕とJのテントは斜めに張る。その代わり朝の食事作りは先輩2人にやってもらった。
現役時代に水縛りを経験していない軟弱者だったので、水を我慢するのは辛かった。そして僕とJの斜めテントは、荷物を工夫して平に寝ようと努力しても無理で、足が圧迫されて感覚がなくなっているのに気づいて慌てて血を巡らす、という行為を寝てる間何度も繰り返していた。Jは気づいたら正座の姿勢になっていたと言っていた。


2016.8.11(木)
| 着 | 発 | 場所 |
|---|---|---|
| 4:50 | C3 | |
| 5:00 | P4下 | |
| 5:10 | 5:22 | 2400mぐらい |
| 6:08 | 6:20 | P5 |
| 7:00 | 薬師見平 | |
| 7:10 | 10:25 | 薬師見の池 |
| 11:00 | 11:15 | P5下 |
| 11:55 | 12:12 | (休憩) |
| 12:45 | 13:15 | 2400mぐらい |
| 13:45 | C3 |
(この日が核心のハズなんだけど、下山直後に書いた記録は10日で止まってしまっている。ので一気に文章が減ります…。)
今日こそ、勝負の日である。まずはP4まで30分でつけるかどうかだ。果たして藪はどのくらい濃いのか…。

薮入り地点は昨日見たとおりハイマツだが、10mも行かないうちに抜けてしまった。下草がまばらに生える林の中をスイスイ進み、P4に向けて登り始めたあたりから、草地をうまくつなぎながらトラバりP5に向かう尾根に乗る。ここまでたったの10分、とりあえず最初のリミットはクリア。もう少し下った2400mあたりで一旦休憩をとる。

ここからP5までは大体ハイマツ藪だが、下りなので楽に進める。一瞬だけ岩と草地の区間があり、そのあと笹薮を登ってP5に到着。
P5直下は笹中心の薄い急斜面で、注意しながら下る。藪中はほとんどJが1人でトップを務めてくれたが、この急斜面から尾根に乗る時だけは4人全員で散開した。斜度が緩んでくると潅木と笹になりそこそこの濃さだが、ほぼ平らになると林の下に入り非常に薄い。平になって少し行ったところから尾根を外し、笹薮の中を沢状地形をたどってガンガン下る。

急斜面を下りきると薬師見平に到着!上から何度も見えていたこともあり即身仏になるほどではなかったが、感無量。そのままふかふかの湿原を歩いて薬師見の池に向かう。やはり藪漕ぎの果ての湿原は最高だ。薬師見平はかなり広く、小さな池塘がたくさんあった。

薬師見の池で荷物を下ろす。このまま昼寝に入りたいところだが、水汲みをしなければならない。去年購入した浄水器ミニワークスEX、ようやく出番。2Lずつ交代でシャコシャコしながら、昼寝したり写真を撮ったりしていた。一度ガーゼでろ過した水を浄水していたのだが、すぐにフィルターが詰まる。最初にフィルターが詰まった時はそのことに気づかず無駄に30分くらいシャコシャコし、消耗してしまった……。3時間近くだらだらし、名残惜しいが出発する。次に来る時は絶対一泊してやる!

来た時と同じ道を登り返す。脱水気味なのもあり急斜面が辛い…。C4からのハイマツ帯の登り返しは今山行一番歯ごたえのある藪漕ぎだったが、和賀山塊で経験したゲロゲロハイマツと比べれば可愛いものだ。



C3に戻ってからも時間がたっぷりあったので、本を読んだり昼寝したり思い思いに過ごした。テントが傾いていることを除けば素敵なサイト地だった。

2016.8.12(金)
| 着 | 発 | 場所 |
|---|---|---|
| 4:55 | C3 | |
| 5:39 | 5:56 | 2600ぐらい |
| 6:40 | 6:55 | 2760ぐらい |
| 7:25 | 7:40 | C2 |
| 8:15 | 9:00 | 赤牛岳 |
| 9:40 | 9:55 | 2800 二つ目のピョコ |
| 10:08 | 10:18 | (休憩) |
| 10:50 | 11:05 | (休憩) |
| 11:45 | 12:00 | 温泉沢の頭の次のピョコ |
| 13:00 | 13:27 | 水晶手前 |
| 13:30 | 13:35 | 水晶 |
| 14:13 | 水晶小屋 |
昨日の晩から胃の調子が悪く、吐き気と戦いながら朝食をとる。(調子を崩したのは僕だけなので、浄水器の問題ではない。)
まずは赤牛まで登り返し。今日もいい天気で最高の展望。この赤牛北西尾根は薬師見平抜きにしても非常に魅力的なルートだと思う。そういえば途中にサビサビの一斗缶があったけどあれ、いつのものなんだろう。

下りとは大違いでサクサク登り、読みよりだいぶ早く赤牛に到着。登山道に合流するとやはりホッとする(が、冷静に考えるとここはまだまだ山奥だ)。赤牛には今日も人がたくさんいた。


ここから水晶まで長い長い縦走路を歩く。きついルートじゃないけどとにかく日差しが強く僕はバテバテになってしまった。せっかくの天気なのに写真もほとんど撮らず……。今日は余裕があればテントが張れて水もタダで汲める雲の平まで行く予定だったが、そんな元気はなかった。Jは雲の平行きを強く主張したが、一度行ったことのあるIさん、Nさん、僕の3人で「こんな慌ただしい日程で行ってももったいないよ」などとネガキャンしまくる(ごめんなさい)。
水晶のピークは人だらけのようだったので手前のピョコで長い休憩を取る。水晶は3度目だが晴れたのは初めて。
水晶小屋の到着時間からすると雲の平に行くことも考えられたが、気力も体力も残ってなかったので水晶小屋に泊まる。
奥黒部ヒュッテのおっちゃんが水晶小屋に連絡してくれると言っていたので、受付で登山届を渡して説明したが、伝わってなかった様子。困惑した様子で「登山届?受け取っとけばいいんですか?」と対応されこちらも困惑してしまった。
お盆のど真ん中ということで布団2枚に5人。わざわざテント担いでるのになぜ高い金を払ってこんな思いをするのか、雲の平も行けないし。とJは思っていたに違いない。ごめんなさい。ちなみに「金は払うから軒下でシュラフで寝たらダメか」と聞いてみたら危ないからダメだと言われてしまった。そりゃそうだ。
2016.8.13(土)
| 着 | 発 | 場所 |
|---|---|---|
| 5:27 | 水晶小屋 | |
| 5:57 | 6:12 | 岩苔乗越 |
| 7:04 | 7:22 | 鷲羽岳 |
| 7:28 | 8:30 | 鷲羽池分岐 |
| 9:23 | 9:50 | 三俣山荘 |
| 10:43 | 11:00 | 三俣蓮華 |
| 11:50 | 12:05 | 中巻分岐 |
| 12:55 | 双六小屋 |
布団2枚に5人はやっぱ辛かったが、前日までの斜めテントよりはマシ。
朝起きて外に出ると、水晶〜赤牛の稜線と裏銀座の稜線の間に溜まった雲海が南側に滝のように流れ落ちていて幻想的だった。

今日は鷲羽岳、三俣山荘を経由して双六小屋まで行く。三俣蓮華も双六も全員行ったことあるので三俣山荘〜双六小屋は巻道ルートを行く気満々だった。しかしJは縦走を主張し、他3人が「いやいや巻くでしょ」と説得する昨日と同じ構図になる。

ところが鷲羽岳の山頂に着いた途端IさんとNさんが縦走派に転向する。マジすか……。「こんなに天気いいのに縦走しないとかバカでしょ」と言われるとぐうの音も出ない。仕方ないので縦走することにする。鷲羽のピークは人だらけだったので早めに立ち去り、僕以外の3人は鷲羽池へ。僕は元気がないので1人お昼寝して待つ。3人曰く、鷲羽池は静かで逆さ鷲羽が見えて大変素晴らしい、鷲羽のピークだけだとなぜ百名山?と思うが池に行くと納得、と高評価だった。

三俣山荘で水を補給し、巻道を横目に見ながら三俣蓮華に登る。三俣蓮華って通過点っていうイメージしかないよなぁ……。
残念ながら双六岳までの縦走中にガスってくる。Nさんが「ガスってるなら双六岳は行かなくていいかな」、というので僕とNさんは中道ルートを行くことにする。Iさんはエアリアに「雷鳥がよく出る」とあるので行きたい、とのことでIさんとJはそのまま縦走ルートへ。しかしJがエアリア2倍のペースでかっ飛ばしたため雷鳥を探すどころではなかったそうだ。僕とNさんはのんびり進み、ちょうど双六小屋手前でJ、 Iさんと合流した。
双六小屋も人だらけですごい数のテントだった。僕が受付してる間にIさんとNさんはビール、おでん、唐揚げを買って乾杯していた。社会人になると違うなぁ。僕は相変わらず胃の調子が悪いので我慢した。

2016.8.14(日)
| 着 | 発 | 場所 |
|---|---|---|
| 5:18 | 双六小屋 | |
| 6:18 | 6:57 | 分岐 |
| 7:28 | 7:50 | 鏡平 |
| 8:28 | 8:45 | (休憩) |
| 9:35 | 9:50 | (休憩) |
| 10:30 | 登山口 | |
| 10:50 | 11:00 | わさび平小屋 |
| 12:10 | 新穂高温泉 |
あとは下山するだけ。この日はなんと写真を2枚しか撮っていない。なんども通ってるルートとはいえ少なすぎ……。
この日も天気が良かったので途中弓折岳に寄った(なぜ写真を撮らないのか)。
鏡平では逆さ槍が雲に隠れたり出たりしていた。逆さ薬師・逆さ鷲羽に続く今山行3つ目の逆さピークである(僕は鷲羽見てないけど)。

鏡平を過ぎたあたりからNさんの足が痛みだし少しペースが落ちたが、無事に下山。下山後の林道歩きって本当に大嫌い。
新穂高温泉で中崎山荘 奥飛騨の湯に入り、バスと同じ料金で運んでくれるタクシーがいたのでタクシーで松本駅まで行って帰京。
まとめ
とにかく天気の良い6日間で肌がボロボロになった。夏山って普通は午後になると雲が出てくるけど、午後もずっと快晴な日が多かった。
記録がほとんど見つからない赤牛北西尾根だけど、行ってみたらそんなに難しい場所ではなかった。藪漕ぎに慣れてないと厳しいだろうけど。あとは岩ゴロゴロ地帯で視界が悪いとツラそう。今回はずっと晴れで助かった。
薬師見平で一泊できなかったのでまたリベンジしたい。今度は沢の技術を身につけて、北西尾根〜薬師見平〜上ノ廊下というルートで行ってみたいなぁ。
Footnotes
-
(2026/6/28追記)記事執筆時。2026年にググるとWikipediaやYouTubeの動画が出てくる。10年経ってネットに公開されてる記録はだいぶ増えたみたい。 ↩
-
(2026/6/28追記)記事執筆時は
http://www.geocities.jp/chonai_yama/だった。 ↩ -
(2026/6/28追記)Yahoo!ブログ終了により閲覧不可 ↩
-
エアリアマップ(山と高原地図)およびそれに記載されているコースタイムのこと ↩
-
mont-bellのクライミング向け?ブランド。ちょっと前までザックはほとんどゼロポイントだったが最近はmont-bellロゴが増えている。シンプルで安く、学生ワンゲルに人気(だった)。 ↩
-
幕営地あるいは幕営すること。僕らは幕営に伴う炊事のこともサイトと呼ぶが一般的ではないかもしれない。 ↩
-
小ピークのこと。 ↩
-
テントが張れる場所。 ↩
-
藪が濃い、の最上級。 ↩
-
サブ装(サブザック)の対義語。幕営道具などをデポせずすべての荷物を持った状態のこと。 ↩
-
本ザックの対義語。幕営道具などをデポした状態のこと。 ↩
-
往復。行って帰ってくる。 ↩
